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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第4章 ウータイ、盗めない宝石


ヴィンセントはユフィを、次いでイリーナを、そしてコルネオを見遣って、溜息を吐いた。
「どうでもいいが、やり方がスマートでは無いな…」
「黙らっしゃ〜い! あれから、俺がどんなに苦労したかお前らには分かるまい……。そう、話せば長くなるけれど……」
沈んだ顔を見せるコルネオの鼻先を、風切り音と共に、リオの振るった鞭が掠めた。
「…疲れてんの、こっちは。さっさと二人を降ろしてくれる?」
続いてクラウドが剣先を、ヴィンセントが銃口を向ける。
「ほひ……お前ら……本気だな。……偉い偉い。俺もふざけてる場合じゃねえな」
ぎらり、とコルネオの眼光が増した。
「あの時は俺の可愛いアプスをよくも殺ってくれたな……。これ以上、俺の花嫁探しのジャマをさせんためにも、俺の新しいペットと遊んでもらうぜ!」
クラウドが眉間を顰めたと同時に、コルネオが叫んだ。
「ラプス カムヒア!!」

コルネオの背後から赤い翼をもつモンスターが飛来し、威嚇を受けた三人は間合いを取る。
「くっ……こっちはマテリアが無いんだぞ…」
クラウドが呟き、リオが舌打ちして鞭で地面を叩く。
先端が跳ねる瞬間、肘を回すと軌跡が円を描いた。その円に沿って、空間に魔力が集積してゆく。

"漆黒の……"

リオが片手を挙げると、指先に満月があった。
周囲は夜の帳に覆われる。

"光閃き、大気の震えとなれ ーーオーディン!"

腕を下ろしラプスを指す動きに重なって、六本足の馬に跨った騎士が現れ、ラプスへ突っ込んだ。
駆け抜けざま、青白い剣閃が敵を一刀両断にする。
斬鉄剣、と呼ばれるその技は、一撃で敵の命を断ち、その魂は騎士オーディンがそのまま冥府へと持ち去る。
真っ二つになったモンスターの死骸だけを残し、何事も無かったかのように闇が晴れた。
「……っは、」
リオが片膝をつく。

「ちょ……」
コルネオは両手を胸の前で広げて見せる。
「ちょっと待った!」
「黙れ!」
クラウドが詰め寄る。
「すぐ終わるから聞いてくれ」
コルネオはいつになく真剣な様子で喋り始める。
「俺達みたいな悪党がこうやってプライドを捨ててまで命乞いするのは、どんな時だと思う?」
「…1、死を覚悟したとき。2、勝利を確信しているとき。3、何が何だか分からないとき…」
クラウドはその台詞に覚えがあって、眉を寄せた。
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