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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第4章 ウータイ、盗めない宝石


「お前らと手を組む気など無い。ただ、互いのジャマはしない。それだけのことだぞ、と」
酒場での緩んだ態度とは一転して、プロ意識の垣間見える言い分に、リオが、ふぅん、と興味ありげに頷き、クラウドはムッとした。
「結構だ。俺たちもタークスと協力するつもりはサラサラ無い」
そんな二人の間に漂う空気を無視して、ヴィンセントがレノに問う。
「ところで、コルネオはいったいどこへ逃げたのだ?」
「フン、あの性格だ。だいたい想像つくぞ。ここらで一番目立つのは……と」
そうとだけ言って、レノは最後にちらりとリオに目を遣り、僅かな笑みと共に流し目を送ると、相棒と走り去った。

ウータイで一番目立つ。
険しい山肌に壮大なスケールで彫られた"ダチャオ像"の登り口へクラウド達が着くと、そこにはレノとルードが既に居た。
イリーナに危害は加えるな、と釘を刺して、彼らは山道を別れて登り始める。
「俺たちも行こう」
クラウドにリオとヴィンセントが頷き、続いた。
山道はダチャオ像の腕や、あるいは頭部の後ろ側を通り、曲がりくねり、枝分かれしていた。複雑な小径を辿るうち、高度はどんどん増していく。
「すごい。ウータイの街があんなに小さい」
リオが遥か眼下の街並みを見て嘆息し、
「……この高さから落ちたら、無事ではいられないな」
クラウドはごくりと唾を呑み、
「…………」
ヴィンセントは無言で周囲の様子を窺っていた。
そんな三人の耳に、風に乗って声が届く。

「ざけんな、ジジイ〜! マテリアも持ってないクセによ!」
「ほひ〜! その拒む仕草が愛いの〜、初心いの〜」
コルネオが両手をワキワキしながら肥った尻をリズミカルに振っているところへ、三人は駆けつけた。
「そこまでだ!」
「ほひ〜。なんだ、なんだ! 何者だ!」
「ゲッ! クラウド……!」
三人を認めたユフィが仰け反る。
ユフィとイリーナは、それぞれダチャオ像の左目と右目に、磔に拘束されていた。
「ほひひ、久し振りだな」
「忘れたとは言わせないぞ」
クラウドが剣呑な気配を醸す。
「ああ、……落とし穴に嵌めたんだって?」
クラウドの言葉に、リオが相槌を打ち、コルネオからユフィへと視線を移す。
三人を落下檻の罠に嵌めたばかりのユフィは、視線を泳がせた。
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