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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第4章 ウータイ、盗めない宝石


「……折角の酒も不味くなる」
反対側に居た、スキンヘッドの男もぼそりと言った。
イリーナは不服そうに頬を膨らませたが、
「……はい……」
席に着いた。それを見て、クラウドたちも警戒を緩める。

「…お、あんた」
ユフィを目で探しながら通り過ぎざま、赤毛の男がリオに声を掛ける。
「僕?」
「別嬪さんだな、と。俺はレノだ」
立ち止まったリオに、レノは流し目を送る。
「時間があるならーー」
「時間は無い!」
リオが口を開く前にクラウドが噛み付くように答え、レノは鼻白む。
だがリオはゆっくり瞬きをして、唇に笑みを乗せた。
「……リオだよ。またね」
「またな、リオちゃん」
半分クラウドに当て付けるように、レノは機嫌良く手を振った。
「先輩………男ですよ」
呆れたように突っ込むイリーナに、
「分かってるぞ、と」
レノがさらりと応え、イリーナが盛大な溜息をついた。

亀道楽を出たクラウド達は、ユフィを追って街中を走り回る。
街なかで見付けた新しいマテリアをその側から引ったくられたり、落とし檻の罠に嵌められたりと散々な目に遭いながら、鐘楼のある建屋に、隠し扉を発見した。
「ユフィはここか…?」
クラウドに、ヴィンセントが頷く。
「とにかく、調べるしかあるまい」
「だよね。あー…さすがに疲れたよ」
リオが、ふーっ、と溜息を吐く。
道中の戦闘で、リオの負担が大きくなったのは自明だった。
「………大丈夫か」
ヴィンセントが逡巡するように訊いた。
「大丈夫だよ。でも、あとでご褒美欲しいかな」
「…?」
ヴィンセントとクラウドには判らなかったが、リオはエアリスを思って、笑顔を見せた。

「離せよ! 離せってば! ちょっと、イタ、イタタタタ!」
扉を開けた三人の目に飛び込んできたのは、大男に担がれるユフィの姿だった。
「コラ、アタシを誰だと……あーっ! 何すんだよー!」
拘束されているようで、足をばたつかせて暴れているようだが、大男は構わず奥へ向かう。
慌てて追ったクラウドが、立ち止まった。
「おまえは……!」
「……ほ……、…………ほ……」
奥で、赤いスーツをぱつぱつに着た背中を見せていた人物が、肩を揺らし、振り向いた。
「ほひ、ほひ! ほひひ〜〜〜!!」
「コルネオ!?」
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