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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第4章 ウータイ、盗めない宝石


「クラウド、ヴィンセント、僕が疲れないようにサポートよろしくね」
冗談っぽく言ってウインクしてみせる少年に、クラウドがこくこくと頷き、腰に手を当てる。
「任せろ」
エアリスは困ったようにヴィンセントを見た。
リオはマテリアを媒介せずに魔法を使う。そのエナジーはどこから調達しているのか。古代種、と呼ばれる種族の血を引くエアリスに、それは"なんとなくわかる"という程度のものだ。
だが、"なんとなくわかる"者が自分しか居ないという事実が、彼女に使命感を抱かせる。
仲間たちは、リオの力を特技くらいにしか思っていないかも知れない。だが、リオの力の代償は、リオの自我に大きく影響しているのではないか。
「ヴィンセント、リオを守ってあげてね」
ヴィンセントは碧翠色の真摯な眼差しに、ややあって静かに頷きを返した。

* * *

入り組んだ地形を登り、下り、時には回り込んだりして、三人はなるべくモンスターとの戦闘を回避しながら、漸くその街へ到着した。
「わあ…すごーい。変わった街並み!」
見慣れない異国の街並みに、リオが楽しげに声を上げる。
と、
「あッ!!」
目の前の橋の向こう側で、ユフィがこちらに気付き、即座に背を向けて走り出す。
当然、三人も走り出した。

「…この中かな?」
建物の影で見失った三人は、"亀道楽"と大きな看板を掲げた建物へ入った。
そこは大衆酒場のようだったが、目の前のテーブルに着いていた一人が、振り返るなりガタンと音を立てて立ち上がった。
「お、お前たち!? なんでこんな所へ……」
その顔に見覚えがあって、クラウドが立ち止まる。
「そ、そんなことどうでもいいわ。私たちタークスに会ったのが運の尽き」
(そうだ、タークスだ)
クラウドが身構え、タークス、と聞いてヴィンセントが僅かに目を眇める。
「さあ、覚悟しなさいっ!!」
息巻く金髪の新人タークスの様子に、クラウドたちも臨戦態勢を取る。
しかし。
「……イリーナ、うるさいぞ、と」
奥の席に行儀悪く掛けていた赤毛の男が、気怠げに窘めた。
「せ、先輩!?」
「俺たちがこんな田舎に来てるのは、何のためだ?」
「そ、それは、休暇を取って日頃の疲れを癒すため……です」
「折角の休暇が潰れちまうぞ、と」
言って男は酒を煽った。
「で、でも……」
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