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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第4章 ウータイ、盗めない宝石


「天…る風、…の根源へと……き、其を……たまえ。…エスナ」
ティファの手当てをするリオを尻目に、一行はマテリア穴がぽっかりと空いた武具防具を見せ合った。
「やられた……」
「無事だったのは…リオだけか?」
「え?」
振り返るリオに、クラウドが眉間を揉みながら告げる。
「みんなのマテリア、全部盗まれた。ユフィだ」
「ユフィはん、逃げはりましたで…」
ケット・シーが遠い目でぽつりと呟き、
「くう〜〜〜ッ!!」
バレットが頭を掻き毟り地団駄を踏む。
リオが数度、瞬きをした。
「とりあえず、リオのマテリアを振り分けるしかないな。見せてくれ」
「あー…」
後れ毛を指に絡ませて、リオが視線を彷徨わせる。
クラウドが再度口を開こうとした時、
「ごめん、持ってない」
「? でもさっき…」
「マテリア、持ってないんだ。最初から」
言って、リオは鞭を放り、ジャケットを脱いで左腕のバングルを外し、それを回転させて見せた。
「……空っぽだな」
バングルのマテリア穴を確認して、シドが頷く。
「……空っぽだね?」
鞭のマテリア穴を鼻先でつつき、ナナキも顔を上げる。
全員から見つめられて、リオは困ったように微笑んだ。
「種も仕掛けもございません、」
そしておどけるように、空の両手を開いて見せ、そのまま紅い唇から言葉を紡いだ。

清らかなる生命の風よ
失いし力とならん …ケアル!

見慣れた白魔法が発動し、クラウドの伸ばした手首の擦過傷を覆うと、治癒した。
全員が、唖然とした。
マテリア無しで魔法を使う人間など、聞いたことが無い。
「………生まれつきなんだよね…」
リオが睫毛を伏せて儚げな溜息を吐き、仲間達は我に帰る。
「…そ、そうか、…すごいな」
バレットが妙に高くなった声で返事をした。
「隠すつもりじゃなかったんだけど、ごめんね?」
小首を傾げてしなを作ると、仲間たちは男女も人獣の別もなく、いや、とかうむ、とか、ううん、などと、めいめいに照れた。

「とにかく、ユフィからマテリアを取り戻すぞ!」
先行パーティはクラウドとリオ、それに変身で自己回復と全体攻撃が可能なヴィンセントの三人になった。
「リオ…だいじょうぶ? 無理しちゃダメだからね」
案じるエアリスにリオは頷く。
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