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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第3章 ロケット村、渇望


リオはジャケットに腕を通しながら、
「クラウド、匂い嗅いだりしなかった?」
「?!」
「いや、冗談だって」

* * *

陽がすっかり昇る頃、追い付いた後発組が合流し、一行は傾いたロケットの聳える村へ到着した。
「暫く自由行動にしよう」
クラウドの提案で、皆は思い思い村へ散らばって行った。

大方のメンバーはロケットを見に行き、リオは幸いとばかり宿屋へ向かう。
(いい人、居ますように!)
後腐れ無く、村にも馴染みが無い旅行者が望ましい。
宿屋なら会える可能性が高いし、ベッドもあって都合が良い。
そんなことを考えていた。

ヴィンセントは、さっさと歩き出したリオに声を掛けるタイミングを逸していた。
そもそも、何と言って声を掛ければ?
(身体は、大丈夫か?)
もし、大丈夫じゃない、と言われたらーー?
(…ばかな)
呪われた身で、あの少年を穢すわけにはいかない。
関わらない方がいい。
そう思いながら、昨夜の苦しげなリオの様子を思い出して眉間に皺を寄せる。
ヴィンセントが目で追いながら足を動かせないでいる内に、リオは"上海亭"と看板の出た建物へ入って行った。
(宿屋……?)
そしてそのすぐ後を。
(…エアリス……?)

「リオ、」
柔らかい声に呼ばれて、リオは振り向いた。
「あ…、…エアリス……」
「覚えててくれたんだ〜、嬉しいな」
「もちろん」
にこにこしながら話す旅の仲間に、リオも笑顔を返した。
「ね、少し話さない?」
「ん…、いいよ」
ラウンジの隅のテーブルにエアリスが誘導し、二人は椅子に掛けた。
「あのね、」
内緒話をするように、エアリスが顔を近付ける。
「リオ、体調が良くないんじゃない?」
「………っ、」
「ね、手を出してみて」
一方的に話し掛けるエアリスの眼差しは、けれど不思議と安心感があって、何と言えば誤魔化せるかも分からず、リオは素直にテーブルに両手を乗せた。
白い手が、そっと重ねられる。
エアリスが目を閉じた。
「うん…リオってね、少し不思議。私と…近い気がするの」
「………」
「………他の人と、繋がってないから不安なのかな?」
リオの手が、僅かに強張った。エアリスはその手を握り直す。
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