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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第3章 ロケット村、渇望


「んっ、」
長い指が咽喉の入り口に触れ、侵される快感が脳を熔かす。
指先から、ヴィンセントの微かな欲望が感じられる。リオを支配したいという欲望。それが、堪らなく甘美だった。
目の前の男は軀に魔獣を宿している。
…そうだ…まだ好きな誰かが居ても、魔獣でいいから犯してくれればいいのに。
けれど差し入れられた指は確かに人の骨格で、長く繊細なそれは、いまの自分を憐れんで、ヴィンセントが困りながら差し出してくれたものだ。

このひとは……優しいんだ。

その優しさに縋って、溢れる涎で長い指をべたべたに汚しながら、少年は切なげに目を閉じて、大きく喘いだ。

咽喉が締まり、指が締め付けられた。
指先がじんわりと痺れ、生温かい口内と積極的な舌に擽られ、これが指でなければ大変なことになっていた、とヴィンセントは内心思った。
「……っふ、」
口の端から涎を滴らせ、少年は名残惜しげに指を舐め、解放した。
不思議な、甘いような香りがして、ヴィンセントは思わず指先を見る。幽かな痺れと、熱を持ち、リオの唾液に塗れていた。
「………ごめ…なさい、…汚して」
リオが俯いて言うのに、いや…、としか返せなかった。

とても楽になった、とリオは言い、実際に呼吸は落ち着きを取り戻していた。
「少し…辺りを見て来よう」
ヴィンセントは赤いマントを外すと、少し迷ってからリオの躰に掛け、立ち上がる。
「うん…僕、ここに居るよ」
まだ少し掠れている聲を背に、ヴィンセントは近くの浜辺へ向かった。

リオの唾液に濡れた指が、不快では無かったが、そのままにしておくのも悪い気がして、冷たい海水に浸す。
塩分を含む海水の方が不快な程だったが、指に残った痺れと熱は、濯ぐ内に消えていった。
夜風に当たって、混乱した頭が次第に醒めてくる。

そういう種族だと言った。
発情があって、他者の手に依らなければ熱を解放できない。
(……聞いたことが無いな)
だが、マテリアキーパーと戦った時の、少年の技を思い出す。
不思議な力だった。

ー星と語り、星を開く

なぜだか、ガスト博士が諳んじた言葉が思い出された。
そうだ、それと近い力なのかも知れない。
リオは、あの時、あの場所の全てに愛されていた。
とても自然に。
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