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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第3章 ロケット村、渇望


半刻ほども経つと、クラウドの寝息が深くなった。
やはり疲れていたのだろう。
リオはそっと溜息を吐いて、爪先を擦り合わせた。鼓動が少し速い。指先で自分の首筋に触れると、ぞくりとした。
熱い吐息と一緒に意図しない聲が漏れそうになるのを抑え、唇を噛みながら半身を起こす。
少し離れて眠っている青年の背に鼻先を近付けると、微かに汗の匂いを捉え、心がざわついた。
(でも………ティファに悪いよね)
爪が食い込むほど掌を握り締め、リオはクラウドを起こさないよう、静かにテントを出た。

憂鬱そうな顔でテントから出て来たリオを、少し離れた場所で火の番をしていたヴィンセントは一瞥した。
夜気に肌を晒しながらリオは暫く星空を見上げていたが、やがて、黙ったままのヴィンセントの隣に腰を下ろした。
「眠れないのか」
たっぷり数分は経ってからヴィンセントが呟くように言い、
「あなたはルクレツィアってひとをまだ想ってるんだよね」
リオが全く噛み合わない言葉を返した。
「まだ………思い出に、ならない?」
リオの問い掛けに、ヴィンセントは黙って目を伏せ、少し躊躇ってから、いいや、と答えた。

「………ねえ、」
リオは首元で纏めていた髪を下ろして解いた。
銀色に輝く髪は編まれていた跡もなく、夜風にさらさらと揺れる。
見事な銀髪は、腰に届くほどだった。
「こうすると、女みたいじゃない?」
ヴィンセントは微かに目を細めたが、何も言わなかった。
「…だよね」
軽く溜息を吐いて、ヴィンセントが何か言うより早く、それを拒むように膝を抱えて坐り直す。
その指先が、震えているのにヴィンセントは気付いた。
「寒いのか」
そんな格好で居るから、と自分のマントを外して言おうとしたところへ、リオが凭れ掛かってきた。
支えようと腕を掴んで、その熱さに動きを止める。
「リオ?」
腕の中の少年は、喘ぐように胸を上下させ、荒い呼吸を繰り返しながら、銀色の睛を潤ませ、壮絶な色香を放っていた。
「…あ、ごめ……」
掠れた聲は蠱惑的で、それに自分で気付いて眉を顰める。
朱く上気した瞼から、今にも涙が溢れるのではないかという気がした。素早く脚に視線を走らせると、炎の照り返しを受けているだけでない、明らかに熱に染まった艶かしさを放っている。
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