第7章 僕だけの青いイチゴ
澤「そうだよな、せっかくのクリスマスで部活もないんだから、山口と一緒にいなくても当たり前だな」
澤村さんが、さも当たり前のように言うけど。
「そっちは、せっかくのクリスマスで部活もないのに···いつメンなんですね」
チクリと小さく攻撃してみる。
旭「アハハ···月島はなかなか痛いトコロを付くなぁ」
そりゃあ、そこを狙って攻撃してるからデショ。
菅「でさ!なんで月島と春華ちゃんが一緒に?」
ソワソワしながら聞いてくる菅原さんは、身を乗り出してくる。
『あ、それは私が、』
言いかけた池田さんの口を、サッと手で塞ぐ。
「教えなくていいんじゃない?僕達だけの、秘密ってコトで」
そして軽く顔を近づけて、ナイショ話。
「···じゃないと、さっき僕と試着室に隠れてた事まで、暴露するハメになるよ?···僕は、構わないケド?」
それを聞いて、みるみる赤くなっていく顔をみながら僕は座り直す。
菅「ねぇねぇ、教えてよ?」
さぁ···どう答える?
『えっ、と···ヒミツ···です』
そう、それでいい。
菅「え?どうゆう?」
『だから、秘密ですってば···』
言えないよね?
あ~んなに僕と密着して隠れてた、なんてさ?
旭「スガ···あんまり野暮な事を追求するもんじゃないって」
澤「だな、旭の言う通りだよスガ」
菅「じゃ、やっぱり···そういう関係?!···ウソだろ···」
隠しきれない動揺を見せて、わかり易いくらいに落ち込む菅原さんを見て、鼻で笑う。
『月島君、何か誤解されてるような気がするけど···』
「別にいいんじゃない?僕達がそうだって言ったワケじゃないし、勝手に誤解させとけば」
サラっと言って、注文する為に店員を呼ぶ。
「ご注文をお受けします」
「このセットを···あ、キミも同じでいい?···じゃ、2つ」
「かしこまりました。ただいまお持ち致します」
さほど待つこともなく、注文したものが目の前に並ぶ。
さすがクリスマス仕様ってなくらい、ショートケーキのイチゴがサンタクロースを思わせるようなデコレーションになってる。
『かわいい!ね、月島君、写メ撮っていい?インスタに載せたい!』
「どうぞ?でも、どうせなら···ほら、これでどう?」
ケーキ皿を持ち上げ、僕の胸の前で少しだけ傾ける。