第6章 売れ残りトナカイ
侑「今日も精が出ますねー。」
春華「アンタらなんやの?暇やの?」
昨日と同じく部活帰りなのか、ジャージ姿の侑と治はウチを茶化しにやって来よった。
侑「癖になるブサイクさやったから、もっかい見とこう思うて。なあ?」
治「まあ、そんな所ですわ。」
春華「ほんまええ性格しとるな。」
着ぐるみはマヌケな顔しとるけど、着ぐるみの中のウチは子供が見たら泣き出すレベルやで。
バイト仲間A「あ、今日も来とるー!」
バイト仲間B「春華ちゃんの後輩なんやろ?」
侑「は?なんなん、アンタら。」
昨日は遠目で見とるだけやったバイト仲間は嬉しそうに駆け寄って来ると、侑と治を囲んだ。楽しそうに話すバイト仲間とは反対に、表情こそはにこやかやけど、侑も治も毒吐いてばっかりやん。せやけど、それが許されるんやからイケメン、ほんま腹立つわ。
侑「ブサイクなトナカイ1人に頑張らせてどないすんねん。あんなブサイクだけじゃほんま売れんで。」
春華「侑、聞こえてんでー?」
侑の阿呆がバイト仲間にブタとか言い出さんか冷や冷やしたけど、流石に昔よりは成長したみたいで少しホッとした。
治「ほんなら、俺らそろそろ帰りますわ。また明日茶化しに来るわ。」
春華「もう来んでええわ!」
侑「どうせ売れのこんねやろ?客は多い方がええやろ?」
春華「何?明日ケーキこうてくれるん?」
治「まあ、そんなとこやな。」