第6章 売れ残りトナカイ
治「ほんまにバイトしよったんすね。」
侑「めっちゃブッサイクやなー。」
春華「久しぶりに先輩に会うて、開口一番ブッサイクとは相変わらず失礼な後輩やな宮兄弟!」
iPhone片手に無断で写メを撮り、ムカつく笑みを浮かべるんは、高校時代の後輩、宮侑と治。後輩言うても、ウチは女バレで侑と治は男バレ。しかも年が2つ離れてるから、関わったのは1年も無い。3年と1年言うたら、関わってるようでいてそうでもないんやけど、入部当初から変に絡んできよった。まあ、女バレの主将やったし、他の部員と比べたら男バレと関わりがあったからやろうけど、初対面時から生意気やったな、この2人は。
治「そない格好で売れるんすか?」
侑「阿呆、サム。売れ残るに決まっとるやろ。この量やで。」
治「それもそうやな。」
春華「ウチが売り子なんやから完売すんに決まっとるやろ?」
ドヤ顔で言うたけど、着ぐるみ着てるから意味無いし。けど、それを嘲笑うかのように鼻で笑う侑と治。ほんま可愛くない後輩やな。
治「まあ、せいぜいキバって下さい。」
春華「言われんでもキバるわ!」
茶化すだけ茶化して去っていく2人の背を見送れば、2人の姿が見えなくなるとバイト仲間に囲まれた。
バイト仲間A「なあ、なあ!今の2人、稲荷崎の宮兄弟やんな!」
春華「よう知ってんね。後輩やねん。」
バイト仲間A「近くで見る宮兄弟やばいな。宮兄弟が後輩とかこすいわ。」
バイト仲間B「あの2人有名人なん?まあ、えらいイケメンやったなー。」
バイト仲間A「どっちかだけでもええから紹介したって?」
春華「性格悪いで。」
バイト仲間A「そんなん、顔面偏差値高いからイーブンやんな。」
そないな事を言いながら今日販売分のクリスマスケーキをなんとか完売。明日はこれ以上売らんといかんとか、しんどいな。