第6章 売れ残りトナカイ
文句を言いながらも、仕方なくブッサイクなトナカイの着ぐるみのまま大きな看板を掲げた。
ただ周りよりひと回り背が高いってだけで始めたバレー。気が付けば小中高とバレーに打ち込み、中学ではエース張って、長身から繰り出される強力なスパイクがうんたらかんたら言われ、高校はスポーツ推薦で稲荷崎に入学。ウチかて年頃の乙女やから、人並みに恋愛したりしたかったけど、1m80近い女にそない出逢いがある訳も無く、ただバレーに明け暮れとった。せやけど、高校を卒業し、大学に入った今、人生最大のモテ期やねん。池田って長身で別嬪さんやな、って言われるようになったし、漸く初カレGETや思ったけど、クリスマスまでに彼氏は出来ず、こないなバイトする羽目になったんやけど、サンタのコスチュームが可愛いせいか、ここで色んな出逢いがあったりすんで?って先輩に言われたから、彼氏の1人や2人、作ったるわ!って意気込みで来たのに、こないな着ぐるみ着てたらモテる訳無いやん。…いや、子供にはめっちゃモテるけど。そうやないねん!子供にモテたい訳やないねん!
侑「もしかしてそのブッサイクなトナカイ春華ちゃん先輩?」
名前を呼ばれ振り返れば、整った同じ顔が2つ隣に並んどった。