第5章 特別はどっち?
ぬくぬくと、コタツに入ってダラダラしていると
「春華ー!買い物してきてー!」
階下から母の声がする。
春華「寒いからやだー」
「どうせ暇なんでしょ?はい、買い物メモね」
「ちょっと多いから、二人も手伝ってあげてね」
ハジメママと母が上がってきて、メモを手渡す。
よろしくね、と笑顔で圧力をかけていき、私達はしょうがなく冬の寒空へ。
とりあえず近くのスーパーへ行き
春華「卵、牛乳、小麦粉、生クリームって、完全にケーキ作ろうとしてるよね!?」
及「俺、春華ママのお菓子大好きだから全然いーよ!」
春華「手間かかるから今年は買って食べようね、なんて一昨日まで言ってたのに…」
小さくため息をこぼして、メモにまた目を移す。
岩「貸せ、持ってやるから」
急に横から手が伸びてきて、籠をひょいと持ち上げる。
春華「あ、ありがとう」
男の子らしい筋肉のついた逞しい腕に、少しだけドキッとしながら。
及「もー、春華岩ちゃんだけずるいー!」
不満顔した170cmが後ろから抱きついてくる。
春華「トーオールー、重いー」
及「春華、引っ張ってってー」
ハイハイ、と呆れ顔で手を引けば満面の笑みで笑って。
まるで無邪気な子供のように、彼は綺麗に笑うのだ。