第4章 赤鼻のサンタクロース
ー 何が言いたいんだ?ハッキリ言ったらどうだ? ー
黒「んじゃ、遠慮なく···青少年健全育成条例って、ご存知で?オレら高校生は1日8時間以上は働いちゃ行けないんスよ?あ、大人だから知ってるかぁ」
クロ···あまり敵に回したくない男だ。
ー 半端な知識で言われちゃ困るな。週40時間超えなきゃ関係ない ー
黒「春華、今週毎日バイト入ってたよな。計算してみ」
『えっと。7日連勤で、今日を入れたら···あ、41時間···』
黒「アララ~、超えちゃってますね~?それに、休みもなく7日連勤っスか···既に罰金刑の対象っすねぇ」
ニヤリと笑ってクロが言えば、店長の顔色が変わった。
ー 池田さん、お疲れ様··· ー
『あ、はい。お疲れ様でした。お先に失礼します···』
黒「春華?着替えて出てくるまで、ここで待っててやるから安心しとけ。それから···」
クロが···春華の頭をかき寄せて、何か耳打ちする。
何を言ったのかは聞こえないけど、春華が急に顔を赤くしてオレに目線を流して···奥へと消えた。
今のは、なんだ?
···なんだよ。
消えた春華の代わりにクロを見れば、クロはオレを見てニヤリと笑う。
なんか、面白くない。
床に落とした鞄を拾い上げ、肩にかける。
リ「夜久さん?」
「先···外に出てるわ」
リ「ハル来るまで待たないっスか?」
そんなの、オレが待たなくったって···
「クロが···いるだろ」
それだけ言い残して、足早に店から出る。
まだ雪は降り続いていて、辺り一面を白く輝かせている。
ヤキモチ···とか、カッコ悪。
ただ、クロと話してただけじゃんか。
···それだけじゃないな。
話すだけなら、普段の部活の時だってそうじゃんか。
オレが自分にイラついてるのは。
オレが春華を守れなかった事。
そんだけだ。
熱々のうどんを食べたハズなのに、心は冷えていく。
クリスマスなのに、一緒に過ごす事も出来なかった。
だから、迎えにきて家に送るまでの間だけでも一緒にとか思ったけど。
それも出来なさそうだ。
別にクロや研磨やリエーフが一緒なのがイヤだってワケじゃない。
大事な仲間だと思ってる。
だけど、そうじゃないんだよ。