第4章 赤鼻のサンタクロース
「あんまり酷いようなら、オレが、」
『大丈夫だよ。私はちゃんと彼氏いるって言ってるし、ね?』
「なら···いいけど」
いや、正直···良くはないんだけどな。
それ以上なにも言わないオレに、仕事に戻るね?と言い残して春華は背中を向けた。
研「あんまり大丈夫そうじゃなかったよね」
「あぁ···そうだな」
黒「やっくんに心配かけたくないんだろ。だから今までも黙ってたんじゃねぇのか?」
そうかも知れないけど、オレは···相談くらいして欲しかったよ。
何となくモヤモヤしたまま、残りを食べる。
みんなが食べ終わって、春華のバイトが終わる時間になって、外で待つかって立ち上がった···その時。
ー 池田さ~ん、残業出来る? ー
『でも今日は勤務時間8時間なので···』
そんな会話が聞こえて来た。
残業って、そんなに客いねぇだろ?
周りを見ても、オレら以外にはパラパラと客がいるだけで、残業しなきゃならないほどの混み具合でもない。
ー 平気だって。片付けしながら話でもしようよ?ほら、来月のシフトの事とかさ?どう?女子高生とお話なんて、楽しいじゃん? ー
はぁっ?!
何言ってんだアイツ!
背負いかけたカバンを床に落とし、大きく足を踏み出した時···研磨がオレの腕を掴む。
「離せよ、研磨」
研「やっくん、ダメ。いまクロが行ったから」
「なっ···オレが!」
アイツの彼氏はオレなんだぞ!
研磨を振り切ろうと動けば、反対の腕をリエーフが掴んだ。
リ「落ち着きましょうよ~、夜久さん?あぁいう面倒なのは黒尾さんに任せときゃいいんですよ、ほら?」
リエーフに促され厨房に目をやれば···
黒「だからァ、そんなに女子高生とお話がしたいんなら?そういうお店に行けばイイんじゃないですか?と言ったんですョ?」
ー 君には関係ないことだろう ー
黒「···残念ですけど、大いに関係あるです···カワイイ後輩ちゃんですから。それともアレですか?ご自分からコンプライアンスに飛び込もうとする勇者ですか?」
研磨とリエーフに言われて耳を傾ければ、淡々と大人のフリをする店長に対して、のらりくらりと交わすクロの言葉が聞こえる。
ー 言ってる意味が分からないな ー
黒「じゃあ、わかりやすく解説しましょうか?」