第4章 赤鼻のサンタクロース
黒「いつからって···なぁ?」
クロの言葉に、みんながニヤリと笑いながらオレを見返した。
くそっ···見られたくない所を、オレはガッツリ見られたワケか。
リ「それより腹減ってるんで、早く入りましょうよ~」
「うるさい、いま入るトコだったんだよ!」
黒「ふ~ん?」
「クロ、その顔いい加減やめろ」
ニヤニヤし続けるクロに軽く睨んで見せて、外したマフラーをカバンに突っ込みながら店へと入った。
『こんばんは、いらっしゃいま、せ···って。ええっ?!』
「よ、よぅ」
チリンと扉の鈴を鳴らしながら入れば、迎え出る春華が驚きの声を上げる。
ー ん?池田ちゃん、どうかした? ー
『あ、いえ、何でもありません···お客様ご来店です!』
ー いらっしゃいマセ~! ー
オレ達はそれぞれトレーを掴み、1列に並びながら春華の前に一歩出た。
『急に来るからビックリしたよ?どうしたの?』
どうしたもこうしたもないだろ。
「部活終わって、腹減ったなぁ···なんて、アハハ···」
まさか心配で様子見に来たなんて、カッコ悪くて言えるかよ!
リ「夜久さんはね~、ハルの事が心配で、って痛ッ!!」
余計なこと言うんじゃねぇ!と無言でリエーフの足を踏みつける。
リ「夜久さん酷いっスよ!!」
「うるせー、黙れリエーフ」
研「おれ、きつねうどんに温泉タマゴ入れて」
黒「あ、オレはカレーうどん大盛りで!」
リ「オレもカレーうどん大盛り!あと、おいなりさん5個!」
コイツら···自由過ぎる···
『リエーフ、おいなりさん今切れちゃってるから作ったら席まで届けるから待ってて?』
リ「ハルが作ってくれるなら、オレいくらでも待、痛てぇ!」
「オレはあんかけうどんね」
顔色を変えずリエーフの足を再度踏みながら、しれっと注文する。
『ありがとうございま~す!』
オレ達が次々と注文する物を、春華は会話をしながらも手際よく仕上げて渡してくる。
いいな、こういうの。
可愛いエプロンとかしちゃって、手際よく料理して、オレが家に帰ったらすぐ飯が用意されている、とか。
···あれ?
今オレ、なんか凄い想像しちゃったかも···
なんでオレが家に帰ったら春華がいて、飯が用意されて?