第4章 赤鼻のサンタクロース
黒「変な男に言い寄られてる?···あぁ、そういや何かそんなこと言ってたっけ」
研「おれも聞いた。店長がやたら構ってきてうざいとか、仕事教えてくれる時の距離が異様に近くてヤダ、とか」
なっ、なんだよソレ!!
アイツそんな事オレには言ってなかったのに!
リ「彼氏いるって言ってもしつこいとか、クリスマスの予定聞かれたりとかってのも聞きましたよ」
彼氏いる···それはちょっと嬉しい。
じゃなくてだな!
クリスマスの···予定···
だからあの時、あんな風に···
『やっくん、クリスマスって···部活?』
「···あぁ、23も24も25も全部一日練習だって」
だから、会えるのは部活終わってからになる、って言おうとして。
『そっか···じゃあ、仕方ないね···その日、バイト先で人が足りなくて、予定がないなら出勤出来ないか?って聞かれてて···』
「一日?」
『うん···まぁ。あ、でもね?24日は夕方からだから、それまでだったら部活見に来てもいいかな?』
「お、おう!もちろん!オレも会いたいし!」
じゃあ差し入れ持って行くね!と言って、昨日は昼から夕方まで部活見に来てて。
今日は昼からバイトで、終わるのはオレ達の部活よりも遅いって言ってたよな。
部活終ったら、迎えに···
黒「顔色悪いんじゃないの、やっくん?」
視線を上げると、クロがオレの顔を見ながらニヤリと笑っていた。
「う、うるさい!こっち見んな!」
研「クロ···部活終ったら、うどん食べたい」
黒「は?」
研「#NAME#のバイト先の、おれ好きだから」
り「オレもおいなりさん食いたいッス!黒尾さん、連れてって下さいよ!」
黒「あ~もぅ、お前らうるせぇ。練習始めんぞ!」
練習が、終わったら···誰より先に学校を出よう。
そして春華の所に···
何気にアイツ、ウチの部で密かな人気だからな。
オレとしては気が気じゃないっていうか、何ていうか。
特に、クロとリエーフだけど。
ま、クロはオレと付き合ってんのを知ってて、わざと春華にちょっかい出してんだけど。
リエーフは、な。
油断ならないっていうか。
隙あらば春華にスキンシップが半端ねぇ。
「はぁ···ったく···」
何度目かのため息に、小さな呟きを混ぜた。