第2章 好きから始まる2人
黒「んじゃ、行くか」
春華「え?どこにですか?」
黒「俺の行きつけ。宛もなく歩くだけだと寒いだろ?」
左手から伝わるあったかさと時々触れる雪の冷たさに頬を緩ませながら、黒尾さんに着いていく。
少しだけ歩いて、小さなカフェへ。
黒「お腹すいてる?なんか、食べるか?」
そう言えばケーキ食べたけど…
ちゃんと食べてないから食べたい気もする。
黒「ここ、パスタ美味いぞ。
食べるんなら、これオススメ」
難しい顔をしていたのだろう。
メニュー表を指さしながら色々教えてくれる。
春華「じゃあ、そのパスタにしてみます」
黒「りょーかい、んじゃ、俺は、これとコーヒーにするか」
「ご注文はお決まりですか?」
きらり、と星が飛んできそうな柔らかい笑顔。
黒「おー、及川」
軽く手を振ってこちらにも挨拶する及川さん。
ネームプレート、ちゃっかり確認して。
及「クロくん、何ちゃっかりクリスマスにデートなんかしてさっ!
うち使ってくれんのはありがたいけどさ〜」
ちょっと不満顔して、今度はこちらに話しかける。
ネームプレートに手を添えて、
及「及川徹です!タメ、呼び捨て、全然OKだから☆
よろしくねっ」
返答に困っていると、後ろから拳骨が。
「おい、及川!客に手ぇ出すなって何回言ったらわかるんだよ!」
「岩ちゃんいったーい!これがうちの売りでしょ!?」
「誰もそんなこと言ってねぇべよ!
注文とって、早く戻ってこい!」
言うだけ言って、奥に戻っていく岩泉さん。
「はいはーい、んじゃ、ご注文をお伺いしまーす」
黒尾さんが、全部注文してくれて、その様子をただただ眺めていた。