第2章 好きから始まる2人
「あ、この伝票もうお会計済んでますよ」
春華「でも、私払ってなくて…」
「こういうのは払わせといた方がいいですよ?
男のプライドってやつを優先してあげてください」
ね?とマッシュの店員さん。
「ありがとうございました。
是非また、いらしてくださいね」
あくまでニコニコと、しかしその次を言わせない笑みで店員さんは手を振る。
「あ、もしあいつに飽きたら俺に会いに来てもいーよ」
先程とはうってかわぅてちょっとだけ子どもっぽい表情で。
その刹那後ろからプラスチックボードが後ろから振り下ろされる。
「あ、痛っ!ちょ、何するんですか」
「お前は仕事戻れバーカ」
「じゃあ黒尾さんは仕事サボっていいんですかー」
「いいんだよ、俺は。厨房あんなに人いらねーから呼んでこい。じゃーな」
強引に話を切り上げて、私の肩を押してお店を出てしまう。
マッシュの店員さんはニコニコと手を振っていて、小さく頭を下げてからお店を出た。