第2章 好きから始まる2人
スマホで時間を確認すれば、もう八時で。
ずっとこのお店に居たら迷惑かな、とか
いつもなら早く進む30分が異常に長く感じられて、少しだけそわそわしてしまう。
ドリンクも、頼んでいたケーキも食べ終えてしまった。
キッチンの方が何やら騒がしいようだったけど
何かあったのだろうか。
「お食事はお済みですか?」
パッと前を向くとあの店員さんがいて。
「あの、えっと…はい」
「俺が払っておくから、正面で待ってて」
一瞬だけ近付いて、耳元で低く囁く。
「え!?」
人差し指を口元に当てて。
まるでドラマや漫画みたいなキザな事をする人。
その小さな動作が絵になってしまう人。
思わず見とれてしまったけれど、
春華「あ、でも、お金…」
ニコリと笑みだけを残して、スタッフルームに入ってしまった。