第2章 好きから始まる2人
菅「『閉店時間は8時半です』」
キッチンに入るなり、同期の菅原がちょっとキメ顔して俺に言う。
ニヤニヤしながら他のメンバーも小声で口々に同じ言葉を口にする。
同じホールの二口が入ってきて
二「ほんと、やっとっすねぇー。
あんまし言わないんで俺、横からかっさらっちまおうかって思ってたんですよ」
運んできた皿達をカウンターにコトリと置いて、ニヤリと笑う。
黒「お前か…」
二「だってちょうど横で面白いことしてたんで、
報告は大事ですよねーっ
あ、これ7番テーブルでーす」
注文票をボードに貼り付けると、にこやかにキッチンを出ていく。
小さくため息をついて、二口に小さく蹴りを入れてホールに戻る。
「あ」
キッチンに顔だけ覗かせて、
黒「やっくーん、俺やっぱ8時であがるからよろしくなー」
夜「はぁ!?勝手にシフト変えんなバカ!
おい、ちょっ…!」
キッチンから怒号が聞こえる前に、そそくさとホールに戻る。
そして向かう先は彼女の元に、だ。