第8章 忘れられない
岡田は下を向きながらゆっくりリビングに入ってソファに腰掛けた。程なくして、♪がコーヒーを持ってくる。
**「はい。」
そう言って♪は微笑んだ。
岡田「なんや前もこんなことあったな・・・。」
**「うん、岡田さんが初めてうちに来た日」
岡田「♪・・・俺な・・・」
**「無理に言わなくていいよ。落ち着いたら奥さんのところに帰っていっぱい癒してもらって。」
そうにっこり微笑む。
俺は**の腕を無意識に掴んでいた。
岡田「ここにおって・・・」
**「岡田さん・・・」
岡田「なんもせぇへんから。」
その顔は本当に捨てられた仔犬みたい。目がうるうるしてねだるような視線。この綺麗な顔でそんな目をされたら、誰も断れないと思う。
岡田「♪・・・抱きしめて・・今だけでええから、俺のもんでいて・・・」
**は無意識に岡田を抱きしめて髪を撫でていた。
暫くすると、岡田は**から離れる。
岡田「あかん。。やっぱり俺帰るわ。ここにおったらまた♪に辛い思いさせる」
今度は、立ち上がった岡田の手を**が掴んでいた。
**自身も自分の行動に驚いて慌てて手を離す。
奥さんのところへ早く帰さなきゃ・・・
突然岡田に唇を奪われる。
でもそれは攻撃的なものではなく、酷く優しいものだった。