第3章 初めての夜。
ピーッピーッピー
バッグして車を駐車する横顔を、つい見てしまった。
少し血管が浮き出てる首筋に見惚れて慌てて目をそらすけど、今度は力強い腕がハンドルを切っていて、またしても凝視してしまう。
なんでこの人何やってもかっこいいんだろう・・・。
坂本「・・・ん?」
**「!!!み、見てないです!!」
ブハっと坂本が噴き出す。
坂本「何をだよ(笑)」
**「え!?あ、い、いえ・・・」
くいっ
坂本「なに、俺に見惚れてた?(笑)」
顎を掴まれ急に至近距離になった唇から零れる吐息にも似た言葉に
完全に心を奪われる。
すると程なくしてまた坂本が噴き出した。
坂本「んなわけねーか(笑)♪ちゃんからしたらおれらおじちゃんだもんな(笑)」
すっと顎から外された手は何事もなかったかのようにドアノブにかけられ、着いたよっと言われて慌てて我に返った**もつられてドアに手をかけ車から降りる。
なんとなく気まずくて坂本から少し距離を置いて後ろをついていく。
エントランスを入ってすぐのエレベーターの前で、昼間の出来事が頭をよぎり、無意識に坂本と距離を置いた。
坂本「そんなに、怯えなくても何もしないから(笑)」
怯えてるんじゃない。何か期待してる。それを悟られないようにまた、少し距離を置いた。
エレベーターに乗り込むと、坂本と対角上に一番距離がある位置に立った。
昼間とは違い、坂本もそれ以上**との距離を詰めることはなかった。