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【FF7 セフィロス BL】支配者の夜

第1章 1


セフィロスは短い溜め息をついた。
リオから視線を外し、冷静さを手繰り寄せる。
部屋に備え付けのコールボタンを押す。すぐに、ハイ、と若い男の緊張した応答があった。
「賊を斬った。掃除してくれ」
かしこまりました、本日は別室をお使いいただけますでしょうか、と緊張した声が伺ってくるのに、了解したと応じて切った。
「何か着ろ。部屋を移す」
「はい…ごめんなさい」
リオはするりとベッドを降りると、クローゼットを開いた。
ハンガーに掛けられていたセフィロスの黒いシャツを引っ張り出し羽織る。
下着すら身に着けていないが、ボタンを幾つか留めると小柄な躰の際どいところは隠れた。

セフィロスに“お姫様抱っこ”されて連れられてきたリオは、替えの部屋に着くと、シャワーを浴びるよう命じられた。
この期に及び、リオはセフィロスがふつうに嫉妬していると結論付ける。まずいことをしたかもしれない。
しかし自分が二週間も性交渉せずにいられるわけがない。
「僕だって…セフィロスの方がよかった」
そう独り言ちながら湯で身体を清めていると、セフィロスがバスルームに入って来た。あいかわらず傷ひとつない、二週間ぶりに見る鍛え抜かれた身体はやはり見事だ。視覚からの刺激を受けて、熱を逃がし切れていなかった少年の躰がひくりと震える。
「セフィロス…」
逢いたかった、と言うのは今は得策ではないのだろう。
「…ごめんなさい…」
「…お前を連れて行かなかったのはオレの失策だ」
リオがバスルームから出て来るのも待てなかった。
苛立ちが消せない。
独占欲、それを自分が誰かに対して抱くとは思っていなかった。
ましてや恋人というより、躰が気に入って手元に置いていたつもりの相手だ。見た目の可憐さと裏腹に性に貪欲なことも、もう識っている。
その結果にこれほど不快感を抱くことに、何より自分が驚いていた。
斬った男はソルジャーだった。“英雄”のお気に入りに手を出す危険を知らなかった訳でも無いだろうが、リオからも誘われたのだろう。まあ、運が悪かった。しかし…
陰で“お姫様”と揶揄されている少年を一時でも味わったのだ、そう悪い最期でも無かったのでは?

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