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【FF7 セフィロス BL】支配者の夜

第1章 1


濡れて縒れたシーツの下で、マットレスのスプリングが撓む。
「お姫様っ、ああ…、めちゃくちゃいい…っ、」
男はベッドライトに浮かび上がる華奢な少年の腰を掴み、獣のように己の欲を何度も打ち付ける。
「あんっ、あ、あっ、僕も…っ」
お姫様、と呼ばれた少年は確かに、裸でなければそう呼びたくなるほど可憐な容姿である。銀色の髪は首を隠すほどの長さでしっとりと揺れ、躰つきも華奢で肌は透き通るように白く、変声期も迎えていないようだ。シーツを掴む指先には桜貝のような爪が見えた。
だが。
「あっ、ね…、もっと…もっと酷くして、」
血のように紅く濡れた唇から零れたのは淫靡な欲求だった。
息を呑んだ男を更に焚き付けるように、僅かに羞じらった表情で振り返り、四つん這いの背尻を艶めかしくくねらせる。
それは背徳的な美しさで、男は理性が遠のいてゆくのを感じた。
「とんだ…淫乱だな、いいぜ、全部、搾り取っ」
しかし、男はそれ以上喋ることができなかった。
汗ばんだうなじから喉元まで刃に貫かれ、少年の背に触れる寸前で温かい血を滴らせる。
ごぷり、と口から血を溢す男の髪を掴み、“英雄”は刀を抜くと、埃を払うように男の身体を床へ転がす。少年を見る眼差しは、今しがた男の命を奪った刀の様な凶暴さを滲ませていた。
「あ…ン、…セフィロス……お帰りなさい…」
少年は気付くと、シーツの上に坐り直し、がっかりしたような視線をまだ温かい死体に投げ、しかしそんなことはどうでもいいというように、熱を孕んだ眼差しになってセフィロスを見上げた。しどけなく開いた紅い唇から、これ見よがしに熱い吐息を吐き、ゆっくり瞬きしてみせる。無防備に晒した躰は、無視できない程の色香を放ち、性交の途中だったのだと主張する。
「…誰でもいいのか、お前は」
セフィロスは刀の血を軽く払って鞘に収めた。
二週間の遠征から帰ってみればこれだ。今回は危険な区域で、リオを連れて行けなかったことを、英雄は苛立ちと共に後悔し始めていた。また、そんな自分の感情の動きに驚いてもいた。
「…ごめんなさい」
久々に会えたのに、キスをしてくれる様子が無い。
そう感じ取ったリオは、少ししおらしくなった。
セフィロスでも嫉妬することがあるのか…と、記憶に留める。
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