第4章 6月『緊張』
『あ!マサちゃーん!!
レイから電話だよ!』
なんて答えようか迷っていると、
悟郎が誰かを呼ぶ声が電話口から
聞こえてきた。
次の瞬間、大声で叫ぶ声が響く。
『おいー!!おまっお前!!!
今日に限って来ないつもりかぁー!!?
俺が嫌いなのか!そんなに
嫌いかあああーーー!!』
「うっ……うるさっ………。」
思わず電話から耳を遠ざける。
キーンという高い音が僕の耳を鳴らした。
『なんだよもう!
俺すっげー頑張ってたのに!
そんな!それは無いだろおおーー!!!』
「真田先生、煩いです。静かに……」
『俺だって泣くぞ!
この馬鹿野郎おおー!!!』
「…はぁ。」
真田先生は何を言っても聞いてくれなさそうだ
「兄さん、食べ終わったら呼んで。」
「………おう…。」
とにかく、煩くして兄さんの
体調に響くといけない。
別の場所に移動しよう。
僕は部屋を出て、玄関前の廊下に一人座った。
『それにお前さぁいっつも
俺の事無視ばっかりだしさ!!!』
真田先生の止まらないマシンガントークを
聞き流す。
内容はクラス会議に来いという事よりは
僕に対する愚痴がほとんど。
「長そうだな……これ。」
真田先生には、今度からちゃんと
連絡入れようと誓った。
『って俺は思うからちょっとは直せよな!』
「…………………。」
『……………………………。』
「あ、終わりました?」
真田先生のマシンガントークが止まったのは
10分くらいしてからだった。
よくそんな長い時間、僕のことに関してだけで
ずっと喋っていられるなと感心する。
もはや早口のスピーチだったし。
『終わりました?じゃなくてさぁ!』
「あ、あの、ごめんなさい。
えっと…真田先生の言いたい事は
とても良く分かりました。
申し訳ないと思っています。」
『あ…そう。分かったなら、いいけど。』
またマシンガントークが
始まりそうになるのを止める。
これ以上続けられるのは勘弁して欲しい。