第4章 6月『緊張』
兄さんは力なくそう言うと卵粥に手をつける。
ゆっくりだけどもぐもぐと食べ始めた。
本当はお肉入れない方がいいから、
一口大サイズして少しだけ入れたんだけど
気にしず食べていて良かった。
いや、熱で意識が朦朧としていて
気付いていないだけなのかな。
「お茶も置いとくから、飲んでね。」
ペットボトルのお茶を枕元に置くと、
近くにおいてあった、
兄さんの携帯が光っているのが見えた。
携帯の画面には、
『悟郎 着信』とかかれている。
「兄さん、悟郎からの電話、出てもいい?」
「………ん。いいぜ……ゲホッケホッ……。」
「………大丈夫?」
咳き込む兄さんの背中をさすりながら、
片手で電話に出た。
『もしもしィー?ハッジメー!
今日は学校来ないのー?』
「……悟郎?」
『あれ、ハジメの声じゃない!
……もしかしてレイ?』
「そうだよ。」
『……え?どうして
ハジメの携帯に
レイが出てるの?』
「兄さん、風邪引いちゃったから、看病中。」
『にゃるほどぉ〜!それで、
レイの携帯も連絡取れないわけだね!』
「あ………ごめん。」
ずっと兄さんの事考えてたから、
自分の携帯を見るのをすっかり忘れていた。
そういえば坂下にも連絡してないから、
僕、無断欠席になっちゃってるな。
「……ねぇ、近くに真田先生いる?」
『マサちゃん?マサちゃんなら
朝からずーっとレイを探してたよ。
今日はクラス会議があるのにー、って。』
あ、今日は真田先生が絶対に来いって言ってた
クラス会議の日だったな……。
真田先生、僕の事に
一生懸命なのはわかるから………嫌だけど、
多少は答えてあげなきゃって思ってた。
でも……
兄さんを放って行く事は出来ない…。
「……うーん……どうしよう……。」