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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第4章 6月『緊張』


(視点)


「………………ん?」

ふと気がつくと、
僕は兄さんに抱きしめられていた。

バカサイユに来て、
兄さんの元に行ったのは覚えている。
でもそこから何も覚えていない。
それまでずっとこうしていたのだろうか。

いや、それにしても、
ずっとくっついていたからか……


「……暑い。」

ぐいっと兄さんの胸板を押す。

「え、?」

兄さんが不思議そうな顔をする。


「暑い。離れて。」


僕がそう言って兄さんの膝から一旦降りると
周りから声がする。

「ほら見ろ担任。
1時間で終わると言っただろう。」


「本当……。凄いわ、さっきまでしっかり
くっついていたのに……。」


南先生と翼?
それにB6も…………、
ああ、そういえばここで補習してたんだった。



「ー。
もうちょっといようぜ、な?」

後ろから兄さんが抱きついてきて
膝の上に戻される。

「………暑いってば、兄さん。」

「いいじゃん。な?」


「……………やだ。」


とは言いつつ、
兄さんの腕に勝てるわけもない。
ガッチリホールドされていると、
B6達が動き出した。

「ねぇセンセ!ゴロちゃん達、
補習頑張ったし、もうオシマイにしよー!」

「そうだな。あと補習やってないのは
草薙だけだ。」


「……え?」

兄さんの顔に冷や汗が垂れる。
確かにみんな補習したみたいで、
それぞれプリントを片付けている。
プリントをやっていないのは、兄さんだけ。


「そうね。草薙君は補習やってないわ。
もう1回はじめから説明するから
一緒にやりましょう。」


「ええーっ!?俺だけ!!?」


兄さんが驚いて腕が若干弱まる。

その瞬間、ソファーの後ろから手が伸びて、
僕の脇に手が入り、ゆっくり持ち上げられた。


「……たかい…たかい………。」

「み、瑞希。………わっ」

188cmの瑞希に子どものように
持ち上げられて思わず瑞希の腕を掴む。

「ふふっ………。」

瑞希はそれににやりと笑って、
僕をそのまま抱きとめた。

「………怖かった…?」


「ば、ばかみずき……。」

そんなの怖いに決まってるじゃないか。
既に30cmの身長差があるのに、
それプラス高い高いなんて、冗談じゃない。
僕が憎まれ口を叩くと、
瑞希は悪戯っ子のように笑った。
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