第4章 6月『緊張』
「、実際どうなんだ。
勉強はやった方がいいのか?」
瞬がプリントから顔を上げて僕に聞く。
……珍しいな。今日は放課後に時間あったんだ。
「別に、僕はやらなくてもいいと思う。
大体、僕、勉強なんてした事ないし。」
「ほらもこう言っている。
が勉強しないのなら
俺達がしたって仕方ないとは思わんのか。」
「君!余計な事言わないの!!」
「………………。」
「に、睨んでも怖くないですからね!」
本当の事を言っただけなのに、
なんで怒られなきゃならないんだ。
むむ、と睨んでみるものの、南先生は
ギリギリと歯を食いしばって睨み返してきた。
「。」
南先生と睨み合っていると、
ソファーの方から声がする。
「あ、………兄さん。」
兄さんだ。朝ぶりだからか、
すごく久しぶりに感じる。
「こっちおいで。」
ふわふわと誘われるように
兄さんの胸に飛び込んだ。温かい。
僕の中で何かのスイッチが入った。