第3章 5月 『以心伝心』
あの喧嘩の1件から2週間。
少しだけ気がついた事がある。
には
1つ癖があるということだ。
「…、このプリント、
明日までだからな。
今日帰ったらちゃんと書いとけよ。」
「……………………………。」
「…おーい、?
聞いてるかー…?」
はたまに俺の事を
無視する事があるが、
それはわざとではないということが
最近分かった。
そういう時は、
も考え事をしているんだ。
「………………………。」
で、そういう時に、
「…、草薙がどうかしたのか?」
って聞くと、小さな声で、
「……うん。また、先帰るって………。」
と呟く。
はその直後、ハッと俺に
気付いて慌てて顔を上げて
俺を睨みつけてくる。
ここまで、いつもの事だ。
「…………………………。」
そんなわけで、
がボーッとしてたり
無視してきたりした時は、
草薙に何かあった時のようで。
以心伝心、って言葉も
あながち間違っていないらしい。