第3章 5月 『以心伝心』
次の日、
は一人で学校に来ていた。
「おはよう。。」
「……………おはようございます。」
は俺を見て軽く会釈をする。
一人だなんて珍しい。
草薙はどうしたんだろう。
…………あ、もしかして………
昨日喧嘩したから、気まずくなって………
一人であれこれ考えていると、
が俺を睨んでいた。
「…………別に、気まずくなってないです。」
「えええっ!?」
俺の心読まれたの!?
「先生……考えると
口元が動く癖があるから…
……見ていれば分かります。」
つ、つまり読唇術ってことか…?
そんなの、テレビの中だけの話かと
思ってた。
「…………はぁ。」
が俺から顔を背け歩いていく。
ああ、もうお前こそ
そうやって先に行く癖やめろよ!
慌てて隣を歩く。
は俺が隣に来たのに無視して
前を向いたままだ。
「…気まずくなってないなら
草薙はどうしたんだ?休みか?」
「携帯家に忘れたから…取りに帰りました。」
な、なんだ。そんな事か……。
少しだけホッとする。
草薙とが仲良くないとこなんて
見たこないし……な。
なんつーか、以心伝心って感じだし。
昨日の別れ方見ると……不安、だけど。