第3章 5月 『以心伝心』
「………………。」
少し先に歩いているが
ふと廊下で立ち止まる。
「あ、…じゃあ俺、
後で職員室行きますんで。」
2人と分かれて、立ち止まっている
の元に行こうとする。
「…………っ!?」
しかし、は廊下を
急に曲がって駆けていく。
「お、おい!」
俺の呼びかけにも答えず、
は走っていってしまった。
あの先は、3年生の教室との連絡通路だな…。
俺も走って追いかけようとすると
肩を思い切りがしりと掴まれた。
「……真田先生、廊下を走らないように。」
「あ、す、すみません…。」
「生徒が真似したらどうするつもりですか。
ちゃんと教師として自覚を持ちなさい。」
二階堂先輩にまた怒られる。
くぅ、の事で怒られ、俺も怒られ、
泣きっ面に蜂だ。
「…それにしても、君、
急にどうしたんでしょうね。
血相を変えて走っていったようですが…。」
「確かに、とんでもないものを
見たというような
顔をしていましたね。」
その言葉にハッと思い出す。
もしかして、何かあったのかもしれない。
「お、俺、様子を……!」
また走ろうとするとまた肩を掴まれた。
「真田先生?……歩いて行きましょう。」
「……ふふ、大丈夫ですよ。
ちゃんと、間に合いますから。」
二階堂先輩は眉間のシワが深くなり、
衣笠先生はにこりと笑う。
俺は怒りと微笑みに挟まれながら、
の向かった廊下を曲がった。