第3章 5月 『以心伝心』
「!
今日の俺の授業どうだった?
ちょっと新しいテキストを
使ってみたんだけど。」
「…寝ていたので分かりません」
「なっ!!なんか俯いてんなーと
思ったら寝てたのかよ…」
夕方、いつものように
校舎の玄関までと話す。
で、俺はを見送ってから
職員室に向かう。
これがいつもの流れだった。
「おや、真田先生。…と、草薙君ですか。」
「ふふ…ごきげんよう。」
「あ、二階堂先輩と衣笠先生。
お疲れ様です!」
このなんとも言えない珍しいコンビの2人は
それぞれ担当の教室から戻ってきたらしい。
「……どうも。」
澪もボソッと二人を見て呟いた。
「おい、ちゃんと挨拶くらいしろよなー。」
「……しました。今、さっき。」
澪は当然のような顔で俺を見る。
……ま、まぁ、確かに、
俺の時は大半無視だもんな。
ちゃんと挨拶を言えた事だけでも
よしとしてやらないと。
「…ふふ、いいですよ。
貴方はそういう子ですもんね。
君?」
「………………。」
衣笠先生の優しい微笑みも
にとっては
全く関係の無いことらしい。
いつものように顔を背け、
勝手にスタスタ歩いていく。
「………はぁ。真田先生。
草薙君にはもう少し指導をするように。」
「……す、すみません…。」
怒られちゃった…はぁ。
俺にはいいけどさぁ、二階堂先輩とかに
あんまり無礼な真似しちゃ駄目ってこと
後で教えとこう……。