第12章 1月 『解け始めた氷』
「…………さん、
行き先はバカサイユでよろしいでしょうか?」
「ううん、一旦家に寄って欲しいな。
用事を思い出した。」
「かしこまりました。」
翼の乗ってきた、リムジンに乗り込む。
僕の後ろからパウが乗り込んだ。
パウのために窓を開けると、
顔を出してキョロキョロしている。
いつもB6全員で座る時と違って、
リムジンの中はとても広く感じる。
……相変わらず大きな車だ。
「…………。」
僕には分不相応………かも。
「さん、
そんな事はありませんよ。」
「…………へ?」
永田さんは運転席からにやりと笑みを浮かべる
「……どういう意味?」
「………それは、いずれ分かる事です。」
「…………?」
「……フッ。」
僕が首を傾げてみるものの、
永田さんは笑うだけで答えてくれなかった。