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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第12章 1月 『解け始めた氷』






「…………。」


「……翼。」

悟郎が見えなくなって少し。

最後に現れた翼はいつも通り堂々としていた。
…………立ち姿だけは100点満点だ。



「永田。」


「はい、翼様。」


「をバカサイユに送ってやれ。
試験が終わるまで、ついて来るなよ。」


「…………かしこまりました。」

永田さんが少し寂しそうに目を落とす。
心配なんだろうな、永田さん。





「翼、頑張ってね。」


「……フン、当たり前だ。
俺を誰だと思っている。」


「…ふふっ……そうだった。」





いつも以上に上から目線の翼に
少し笑いが込み上げる。

意味もなく自信満々、という感じだ。
僕の方が逆に元気づけられた気がする。



「バカサイユで永田さんと待ってるよ。」


「ああ、分かっている。
永田、の事頼んだぞ。」


「かしこまりました。」



「…………むぅ。」


なんだ、また僕は頼まれる側、なのか。



「トゲー!」


「パウ、パウ〜!」


「………なんだ、トゲーとパウもいるのか。」


「うん。預かっててって。」




「…フン、なるほどな。」



翼がにやにやと笑って、僕に顔を戻した。

翼、なにか一瞬考え込んでたみたいだけど…
なんだったんだろう。




「……なら、行ってくる。」


「いってらっしゃいませ、翼様。」


「いってらっしゃい。」


胸を張って、スタスタと
試験会場に入っていく。




「……翼様、ご武運を……!」


永田さんが涙ぐむ横で、僕も翼を見送った。



「…………あ。」


その時、歩き方に癖があることに気づいた。


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