• テキストサイズ

弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第12章 1月 『解け始めた氷』








「……あ!!レイーーーー!!ハグッ!」


「……ッ悟郎、おはよう。」


「もぉ〜!なんで避けるの!?
ポペラップゥーー!!」


試験会場で走ってきた悟郎を避ける。
そんな走って抱きついてきたら
倒れちゃうもん。

危ないところだった。





「だって、僕悟郎より小さいし。」



「小さくても関係ないしー!
ボクがしたいからするの!!ぶぅ〜」


「………はぁ。」

「へへっ…じゃあ改めてハグッ!!」


気の抜けた僕を見て
悟郎がぎゅう、と抱き締めてきた。


…結局、抱きしめられるのか。



「パウッパウ〜!!」


その時、足元で犬の鳴き声が聞こえて、
下を見ると、パウが僕の靴に前足を掛けていた



「………パウ?どうして?」


「パウー!!」



パウは僕の目を見てにこりと笑う。





…………迎えに来た?どういうこと?






「えへへっボク、
今日が試験だ〜って思ったら
なんか寂しくってさ。
パウ連れてきちゃったの!」


「パウ〜!」


「ダメだよ、試験に犬連れてきちゃ。
怒られちゃうよ。」


「いいの!だって、レイがいるから!」






はい!と元気良く渡されたのは、
パウのリード。




…………ああ、そういうこと。


パウは試験会場にいる僕を迎えに来たって
言いたかったんだ。




「………分かったよ。預かっとく。」


仕方なく僕がリードを受け取るとパウが
嬉しそうにしっぽを振った。


「パウ!」


「…トゲー?」


その元気な鳴き声を聞いて、
僕のマフラーにくるまっていた
トゲーも顔を出した。


「あ!トゲー!トゲーもいるんだ!!」


「うん。瑞希から預かってるの。」


「良かった!じゃあこれで
は寂しくないね。」


「別に、寂しくなんかない。」


「もぉ〜照れちゃって!
顔に寂しいって書いてあるよ。
ね?パウ?トゲー?」


「パウパウー!」


「トーゲー!」


悟郎の言葉に、
2匹とも僕を見て鳴いた。

二匹とも僕を護ってやると言わんばかりに
元気いっぱいだ。


………まぁ、楽しそうだし、いっか。


/ 427ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp