第12章 1月 『解け始めた氷』
「あ!斑目!!」
「…………ん。」
「瑞希、重い。」
「………いつものこと。」
真田先生は突然現れた瑞希に、
目をぱちくりさせている。
「斑目、おま、何しに!!」
今はただの休み時間。
もうあと5分もすれば、
次の授業が始まるのに。
「………に……会いに?」
「………意味わかんない。」
意味不明の理由に
僕が悪態をつくと、
瑞希がにやりと笑った。
「………ふっ。」
「……トゲッ。」
……この人…いや、この1人と1匹は
僕がこの話を真田先生にするのが、
気に食わないようだ。
「もう……邪魔するの?」
「………うん。………ムカつく、から。」
「はぁ、物好きだね……瑞希も。」
「………うん。」
僕がため息をつくと、
瑞希がまた笑って頷いた。
………確信犯め。
「…………そのうち、わかる。」
「…へ?」
「………のこと。」
瑞希は僕の首に手を回してそう言った。
「のことって…
さっきの話、聞いてたのか?」
「…………ん。」
真田先生が瑞希に不思議そうな顔をする。
…ああ、真田先生は瑞希が天才って事、
知らないんだった。
「それに、そのうちって…」
「………ふふっ」
現れた理由も、緊張の事を知ってる理由も、
そのうち…の意味も分からない真田先生は
頭にひたすらハテナを沢山浮かべている。
それを見て瑞希はにやりと笑った。
…………もしかして、僕を使って
真田先生を茶化してる?