第12章 1月 『解け始めた氷』
「………そっか。」
僕がそう言うと、瑞希は首を振った。
「………でも、もっと早く会えば良かった。」
瑞希が僕の方を見る。
「…どうして?」
「………だって、のおかげで
僕は聖帝に入れた。」
僕の……おかげ?
瑞希が聖帝に転校してきたのは、
去年の文化祭の頃だ。
まだB6…なんて言葉がない頃で、
兄さんはストリートファイトをし始めて、
僕もクラスメイトに避けられていたから
僕は兄さんと一緒に過ごす事が多かった。
…でも、その頃の記憶に瑞希はいない。
「………全然、覚えてない。
僕、また忘れてるのかな。」
僕がそう言うと、瑞希の握る手が強くなる。
「……ちがう。
は…僕には会ってない。
………僕がを、見かけただけ。」
「……ふぅん。」
僕が口を窄めると、
瑞希が顔を覗き込んできた。
「……………なんで、怒ってるの?」
「……だって。見かけたなんて、嘘だ。
瑞希、僕に会ったって顔してる。」
「…………バレたか。」
「いいもん。自分で頑張って思い出すから。」
「…………ん。ファイト。」
瑞希がにやりと笑う。
…むむ……絶対に思い出してやるんだから。