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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第12章 1月 『解け始めた氷』





それをずっと見ていた
研究員の1人が、
僕のテスト用紙を見比べている。



「………面白いね、君。
今までのテスト、
全て同じところで間違えている。」


「…………………、」



「正解してる問題も全て同じだ。」



「………………!」



「……これは偶然か……必然か。
どっちだい?君。」


「…………………。」



………このままじゃ、
あの男の子の言ってる事が、
バレてしまう。

僕は、ビクリと肩を震わせた。




「君は………普通の人間じゃないだろう。」


「そういう人間が一般人と暮らすと、
周りの人を不幸にする……。」



「君は……人に疎まれる存在だ。」





の心にぐさりぐさりと
矢が突き刺さる。


はその目が怖くなって、俯いた。

だが、は顎を掴まれて、
無理やりこちらに向かされる。


周りの研究員達が、僕を苛ついた目で見ていた







「ほら………周りを見てご覧。」



「誰もが…
君を睨んでいるのが分かるはずだ。」



「…まぁ、これは君が嘘をつくからだけど。」




「……でも、それはここだけじゃない。
外でもきっと、
君は同じような目で見られるはずだ。
………君にとって、外の人間は全て敵だからね」



の瞳から涙がぽたぽたと
零れ落ちた。


それに対して、研究員は
にやりと笑みを浮かべる。


「………それよりは、ここの方が
君の過ごしやすい環境になっているよ。」





「………考え直してみないか、君。」





「…………………っ」


その時、コンコン、とドアを
ノックする音が聞こえて、
女の人が入ってくる。


「草薙 君のご家族が
いらっしゃっておりますが………。」



「……時間切れ、か。」




研究員がから
手を離した瞬間、は
必死の思いで駆け出して、
玄関へ向かった。



1度通った道は全て覚えている。




迷いそうな研究施設の道を通り過ぎる時
あの男の子も見かけた。



「……聖帝学園の……君……。
さようなら。」



その言葉が一瞬だけ、耳を掠めた気がした。





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