第12章 1月 『解け始めた氷』
「……………平均、だな。」
テストが終わった後、
研究員の1人が呟いた。
は全ての問題で
男の子に言われた通り回答をした。
「………待て。おかしくないか?
以前行ったというIQ250の結果とは
雲田の差だぞ。」
「………もしかしたら、
施設に来て緊張して、
それで点が落ちたのかもしれない。
………少し話してみるか。」
先程まで真剣な顔で話していた
1人の研究員がに近づいてくる。
「君。テストお疲れ様。
難しかった?緊張しちゃったかな?」
「…………………。」
「…少し、休憩しようか。
お菓子でも買ってきてあげよう。
何が好きかなぁ……チョコレート?
それとも、ポテトチップスかな?
それが終わったら、もう一度やってみよう。」
「………………。」
「…ん?何って?」
「……………………。」
「…………フゥ。君も、瑞希君と同じ、か。」
は何を言われても、
ずっと黙っていた。
研究員は色々と声をかけ、
に何度も似たようなテストを
行った。
だが、は同じような結果を出し続け
研究員は次第に強い口調で僕を追い詰めた。
「君。
君、手を抜いてるんじゃないか?」
「……………。」
「黙っていないで、なんとか言いなさい!」
「……………………。」
IQ100と書かれたテストを机に叩きつけられる
何回目かも分からないくらい
受けたテストの用紙が散らばっていた。
「………………っ。」
早く、早く帰りたい………。
お兄ちゃんと、お母さんに会いたい……。
は唇を噛んだ。