第12章 1月 『解け始めた氷』
「お、お帰りなさいませ!!」
一週間ぶりの帰宅に、
思わず声が上擦ってしまいました。
「……ええ。ただいま。」
「ただいまー、あれ、誰だっけ。この人。」
「……………。」
「あ、そうそう!かせいふさん!」
一坊っちゃまはご機嫌の様子で
買ってもらったらしい
ライオンのリュックサックを背負い、
帰ってきました。
「家は、何事もなかったかしら。」
「はい。勿論ございます。」
「……そう。ありがとう。
………はぁ。悪いんだけど、
紅茶をもらえるかしら。」
「かしこまりました。」
それに対し、
奥様は浮かない顔をしておりました。
「もしかして…坊っちゃまは…?」
私が紅茶を淹れながら言うと、
奥様は首を振った。
「ううん、アメリカ行きは無くなったの。
はそういう
実験対象じゃないらしくて。」
「……じ、実験対象?」
私は首を傾げた。
坊っちゃまは
研究所に行ったとは聞きましたが、
実験だなんて……どういう事なのでしょうか。
その時、リビングから足音が
聞こえて振り向くと、
坊っちゃまが
こちらに目を向けておられました。
「………………。」
「…………、ごめんね。
私が悪かったわ。」
「……………………。」