第12章 1月 『解け始めた氷』
………
「……………。」
その時、僕の脳裏に昔の光景が蘇る。
真っ白な部屋に、
子どもの僕と……
僕より少し大きい男の子がいる。
『…………もし、このテストでいい点とったら、
研究所に入れられる。
もしそうなったら、
君は家族と離れ離れになる。』
『……そんなの、嫌でしょ?。』
『……僕が助けてあげる。』
………
「……………草薙君?」
「……あ、ごめん。
ちょっと、ボーッとしてて。」
武川君に話しかけられて、
先程の記憶はプツリと切れた。
頬をぺちぺちと叩いて現実に戻る。
………なんだろ、今のは。