第12章 1月 『解け始めた氷』
「………それに、今は後悔してない。
生徒会でいい子してるより、
B6と遊んで騒いでた方が楽しい。」
でも、それがあったから、
僕はB6のみんなと出会えた。
兄さんも岡崎の事も、武川君の事も許すって
言ってたけど、
それは僕も同じだ。
今だって、たまに言われることはあるけど、
もう慣れてしまったし、
今更どう思われようが関係ない。
それに、僕には……
B6と、兄さんと…
そして、真田先生もいる。
それだけで、十分だから。
「…………なんで。」
「………………?」
「……俺を……責めないんだ。」
「………。」
「………俺は、先輩と…君を、陥れたんだぞ。」
武川君の拳が震える。
…でも、その質問の意図は
僕には分からなかった。
「………君を責めたとして、何になるの。」
僕は平然と首を傾げた。
どうして、岡崎に巻き込まれた武川君を
責めなきゃいけないんだ。
「……僕も兄さんも、本当に嫌だった。
でも、こんな事を誰かに味合わせるのは
もっと嫌だ。だから、もういいんだ。」
僕がそういうと、武川君は苦笑いをした。
「……君も、草薙先輩と
同じことを言うんだな…。」
「……まぁ、兄弟だから、ね。」
僕がそう言うと、武川君は項垂れた。
そんなに落ち込まなくても、いいのに。
「………君は強いな…。」
「………?」
「……君は…ClassAで、
酷い嫌がらせを受けているのに、
俺も岡崎先輩も恨まず、
そのままずっと黙っている、なんて………。」
「……………。」
「………俺にも、君くらいの勇気があれば…
いいのにな。」
「そんな、僕に…勇気なんて、無いよ。」
ただ、僕は…
「……黙っている方が…楽だったから。」
口を出すから、反論される。
口を出すから、責められる。
それなら、喋らない方がいい。