第2章 4月『沈黙の少年』
「ー?いるかー?」
バカサイユのドアを開け、
声をかけるが、返事は無かった。
「…………どこだ?」
騒がしいバカサイユも、
人がいなければ静寂を保っている。
ソファにもいないし、
どこにいるんだろうか。
「……おーい。」
でも、なんとなくは
ここにいる気がする。
俺の野生の勘だ。
色々と探し回っていると
カーテンが一瞬揺らめいた…………気がした。
「………ん?」
カーテンはほんの少しだけ膨らんでいる。
もしかしたら、ここにいるかも。
カーテンは翼が用意した物凄く高価なもので、
床にまで伸びていて、
下の方は金色の紐がたくさんある。
そのためカーテンの外からは足元も見えず、
中に誰か入っているのかどうかは
分からなかった。
「……………、いるのか?」
声をかけると、カーテンの中から
ひょこり、と顔を出した。
「……に、……にゃあ」
何故か、黒猫の着ぐるみを着たが。