第2章 4月『沈黙の少年』
「はぁー、やっと終わったぜ。帰るか。」
授業が終わり、背伸びをする。
今日も1日やっと終わったぜ!
……あんまり何やったか覚えてねぇけど。
「一。」
「ん?」
後ろから声をかけられて振り向くと翼がいた。
なんか変な顔してる。
納得いかねぇけど、
やらざるを得ないというか。
そんな感じだ。
「……から伝言なんだが。」
「?」
「…バカサイユにいるから
終わったら来て。……だそうだ。」
「…ふーん?」
そんな事、わざわざ言わなくても
いつもバカサイユに行ってるのに……。
わざわざ言うなんて、
の奴、変なの。
「………ま、が言うなら、
行ってやらねぇとな。」
鞄を持って立ち上がる。
いつもの通りクラブ棟通っていくか。
「ん……。」
「あれ、瑞希。どうした?」
瑞希はぼんやりと俺の前に立つ。
瑞希の席、俺の席から遠いのに。
ここまでわざわざ来たのか。
「…………は、
…………裏…………け………。」
「………え?今日は校舎裏を通って
バカサイユへ行け?」
「…………ん。」
「…………そりゃまた、なんで?
校舎裏から行ったら遠回りだろ。」
「……………ん………だめ………。」
瑞希はふるふると首を振った。
何故かは知らないが、
俺をクラブ棟の前を通らせたくないらしい。
「………わぁったよ。校舎裏な。」
「……ん……それでいい………。」
瑞希がこくりとうなずいて、
道を開けてくれる。
俺は瑞希に言われた通り、
校舎裏を通ってバカサイユに向かった。