第11章 12月『聞こえなかった兄の声』
(真田視点)
「………よっ、楽しんでるか?」
「あ、真田先生!」
「………。」
パーティ会場に二階堂先生と一緒に入ると、
B6の中にいる南先生がいた。
相変わらず、良くも悪くも目立つな、B6は。
……………勿論、南先生も。
「あ、南先生………その。」
いつもと違うドレス姿に思わず顔が火照る。
紫のドレスは先生にぴったり合っていて、
いつもの可愛らしいピンクのスーツよりも
色気があるって言うか、なんていうか。
「あああのさっ…その、………」
「あら、二階堂先生も
いらっしゃったんですか。」
「ええ…先生、よく似合っていますね。」
二階堂先輩が照れくさそうに顔を背ける。
……あー…俺も言いたかったのにな…それ。
「……ふん。」
それに反抗するように
が南先生を
上から下まで見て鼻を鳴らす。
「…え?何って、。
『まごにもいしょう』?…なんじゃそりゃ。」
草薙がの言葉を翻訳して
首を傾げる。
まごにも……馬子にも衣装、のことか?
「ちょっと、君。
それどういう意味?」
「……。」
「『……知りません。』だってさ。」
「もう!絶対知ってるでしょ!」
「……………。」
「『…兄さん、ジュース欲しい。』
俺の飲みかけだけどいいか?」
「………うん。」
のやつ、斑目並に喋らないな。
どうやら今までにないくらい
機嫌が悪いらしい。
理由は知らないけど、
まぁ…周りのB6を
見る目を見ればなんとなく想像はつく。
さっきから遠くでこちらを見て
きゃあとはしゃぐ女子の声が聞こえるし。
「………。」
だが、その気持ちも分かる。
どんなにが嫌がったって、
B6はみんな、良いもんな……顔は。
「何着ても似合うな、B6は。」
俺がそう言うと、草薙が嬉しそうに笑う。
「だろ?俺とは
色違いでお揃いなんだぜ?」
「あ、そうなのか?」
「………………。」
草薙は羨ましいだろ、と言わんばかりに
自慢げな表情を浮かべており、
それに対しはむすりと
不機嫌そうにしている。