第11章 12月『聞こえなかった兄の声』
(視点)
「……………先生のばか。」
「そんな顔したって、謝らないわよ。
教師として、サボりを見過ごす訳には
いかないもの。」
「………むぅ。」
煌びやかなレッドカーペットが敷き詰められ、
豪華な立食パーティが行われる中、
真ん中のダンスホールは一際賑わっていた。
…………僕以外の人達は、だけど。
「…………むううぅ。」
僕は死んでも入るものかと
思っていたのだけど、
南先生のせいで、
中に入る事になってしまった。
女子と男子が2人でダンス…
賑やかな会場…
眩しいくらいの装飾……
どれもこれも、僕の苦手なものばかりだ。
瑞希は眠てしまうからいいだろうけど、
僕はこんな所じゃ眠れない。
しかも1度入ったら出られないなんて、
ここは牢屋なの?ほんとに。
「君、そんなこと言わずに
楽しみましょう!
ほら、唐揚げでも食べて元気出して!」
唐揚げを差し出す南先生を
諦めきれずもう一度睨むが、
効果は無かった。