第11章 12月『聞こえなかった兄の声』
12月 番外編
あの驚くような兄弟喧嘩が終わって、
はB6にすんなりと戻って。
前より一段と兄弟の仲が良くなった2人は
喧嘩をしていたのが嘘のように
しばらく手を繋いで歩く姿を
見せつけていた。
「お、草薙と、!おはよ。」
「はよっす、先生。」
「…おはよ…ございます。」
は周りを気にしているようで、
ぼそぼそと喋り、草薙の腕に手を回した。
それどころか、は擦り寄るように
草薙の腕を体に引き寄せた。
その様子はまるで、
カップル……だけれども。
「…仲良いのは分かるけど、
くっつき過ぎだぞ。」
一応2人は兄弟だ。
聖帝の奴らは草薙達の事は知ってるけど、
傍から見たら、似た顔の高校生が
カップルのように擦り寄ってるなんて。
………何かしらの誤解を招く、かもしれない。
俺が言うと、草薙はへらへらと笑った。
「そうか?いつもこうだろ。
この時期は特に、な。」