第11章 12月『聞こえなかった兄の声』
「あ、お、おま、お前ら!!」
俺が2人を指さすと、
二人は照れくさそうに笑う。
「…へへっ、こういう時、
なんて言えばいいんだろーな。」
「………ゴメーワクオカケシマシタ…とか?」
「お、それいいな。
俺もゴメーワクオカケシマシタ!なんてな。」
いつの間にか二人は
今まで通り仲の良い草薙兄弟に戻っていて
なんというか、気が抜けたというか、
ホッとしたというか。
今までなんだかムズムズしていた違和感が
すっぽり抜けたというか。
「………ホントゴメーワクだよ、
金輪際こんな事はやめてくれよ。
心臓に悪いから。」
はぁ、と肩の力が抜けてため息をつくと、
がぼそりと呟いた。
「……ありがと、先生。」
「………………え?」
顔を上げた時にはもう2人の姿はなく、
南先生を仰天させて笑っている二人の姿が
見えた。