第10章 11月『王子様の超越』
「…………うわ、なんか変な匂いするな。」
「………ベルガモットです。」
変な匂いって………失礼な。
真田先生にはこの紅茶の
良さが分からないらしい。
翼にあげれば良かったかな。
もしくは瞬。
「………どうぞ。」
「……い、いただきます。」
僕がティーカップを渡すと、
真田先生は角砂糖を1つ入れた。
「……………。」
僕もそれを見ながら1口飲む。
「……美味しい。」
ぼそりと呟いた。
紅茶の中ではハーブティが一番好きだったけど
これも、結構上位にランクインするくらい
美味しい。僕の好きな味だ。
両親がたまに飲んでいた理由も納得出来る。
「…………ほんとだ。美味い、これ。」
真田先生も口をつけたらしく、
カップをもって驚いていた。
「……これ、ClassXで出してるやつなのか?」
「………いえ。僕の私物です。」
「あ、そうなのか。
悪いな、いただいちゃって。」
「………………。」
本当だよ、という本音は飲み込んだ。
まぁ、この人は悪くないから。
悪いのは強引に引っ張ってきた南先生だし。
「ケーキ、2つ!お待たせしました〜。」
「お、きたきた!」
噂をすれば、南先生がケーキを運んできた。
ホットケーキには
生クリームの塔ができており、
チョコソースでハートが描いてある。
ホットケーキの周りには
マーブルチョコが並べられ、
その上にいちごソースが
大量にかけられていた。
…………こんなの、メニューに無かったハズ。
「……………先生、えっと、これは?」
「ああ、悟郎君がね。
君と真田先生が
食べるならサービスするって
クリームとかデコレーションのチョコ、
たくさん付けちゃったのよ。」
「…………そう、ですか。」
置いただけで倒れそうな
生クリームの塔を見ながら頷いた。
………見ただけで胸焼けがしそう…。
しかも、悟郎だったら
完食しないと怒りそうだし……うう。
「食べれそう?」
「………頑張ります。」
これは、夕飯はもう食べれそうにないな。